目的
本研究では、セルフケアに口腔洗浄を加えることで、インプラント周囲粘膜炎の発生率および重症度に与える影響を評価しました。
方法
60名の被験者が参加した12週間の無作為化比較臨床試験を実施しました。被験者は以下の3グループに分けられました:
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標準的な口腔衛生(ROH):1日2回の歯磨き(歯磨き粉の使用有無を問わず)と、被験者の選択による歯間清掃を行うグループ
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ROHに加え、1日1回、夜に歯磨きおよび歯間清掃後、50 mlの水を用いたウォーターフロッサーによる洗浄を実施するグループ
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ROHに加え、1日1回、夜に歯磨きおよび歯間清掃後、50 mlの0.06%クロルヘキシジン(CHX)溶液を用いたウォーターフロッサーによる洗浄を実施したグループ
評価は開始時、4週間後、8週間後、12週間後に実施し、以下の指標を用いました:
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歯周ポケット内での出血(BOP):歯周ポケット検査時の出血の有無
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改良プラーク指数(mPI):歯垢の付着状態を評価する指標
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粘膜炎重症度スコア(MSS):インプラント周囲の炎症の程度を数値化した指標
結果
0.06% CHXを用いたWaterpik™ウォーターフロッサーは、以下の点で特に優れた効果を示しました:
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プロービング時の出血(BOP)
ROHグループと比較して、最も大きな改善が見られました。 -
粘膜炎重症度スコア(MSS)
中等度から軽度への改善が確認され、ROHグループと比較して有意に効果的でした。
ウォーターフロッサー全体に関する主な観察結果:
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CHX洗浄グループと水洗浄グループの間には、いずれの測定値においても有意な差はありませんでした。
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水洗浄グループは、12週間後の粘膜炎重症度スコアでROHグループを有意に上回る改善を示しました。
結論
Waterpik™ウォーターフロッサーは安全で、標準的な口腔ケア(ROH)よりも粘膜炎の重症度を効果的に軽減することが確認されました。
0.06% CHXを使用することで、さらなる改善が期待できます。
特に、炎症や歯肉の状態改善に対する高い有効性が示されました。
研究上の注記
著者らは、複数の比較に対する統計的補正を行っていないため、本研究の結論は探索的なものであると述べています。データによれば、被験者数を20名から50名に増やすことで、水洗浄グループとROHグループの間に統計的に有意な差が得られる可能性が示唆されます。この結果は他の既存研究とも一致しています。
