目的
歯周フラップ手術(歯肉を切開して歯根の清掃を行う外科処置)の延期または拒否を希望する、中等度から重度の慢性歯周炎患者において、ピックポケット™チップを用いた0.06%クロルヘキシジン(CHX:殺菌効果の高い洗口液成分)によるウォーターフロッサーと歯ブラシの使用効果を評価しました。比較対象として、0.12%洗口液と歯ブラシを使用した場合の効果を検討しました。
方法
研究チームは40名の被験者を対象に3ヶ月間の無作為化比較臨床試験を実施しました。被験者は2グループに分けられ、グループAは歯磨き後に1日2回0.06% CHXで洗浄を、グループBは歯磨き後に1日2回15mlの0.12% CHXで洗口を行いました。全被験者は第I期治療として歯石除去、歯根表面のクリーニング、各デバイスに特化した口腔衛生指導を受け、標準的な手磨き用歯ブラシと歯磨剤が提供されました。
以下の指標を用いて評価を行いました:
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歯肉炎指数(GI):歯肉の炎症の程度を数値化した指標
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簡易口腔衛生指数(OHIS):口腔内の清潔度を評価する指標
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歯周ポケット内での出血(BOP):歯周ポケットの検査時の出血の有無を示す指標
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歯周ポケットの深さ(PD):歯肉と歯の間の溝の深さを測定する指標
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臨床的アタッチメントレベル(CAL):歯周組織の付着状態を評価する指標
これらの測定は、開始時、第I期治療後2週間後、4週間後、12週間後に記録されました。歯周ポケットの深さと臨床的アタッチメントレベルは1歯につき6部位で測定しました。また、クロルヘキシジンによる歯の着色を評価するため、改良ロベイン着色指数を用いて各被験者の着色の程度を調べました。
結果
36名の被験者が試験を完了し、両グループとも開始時から12週間後まで、歯肉の炎症、口腔衛生状態、歯肉からの出血について有意な改善を示しました。特筆すべき点として、0.06% CHXによる洗浄を行ったグループAは、0.12% CHXによる洗口を行ったグループBと比較して、以下の点で優れた結果を示しました:
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歯周ポケットの深さの改善がより顕著
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歯肉と歯の付着状態の改善がより明確
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舌側(舌に面した部分)の着色が有意に少ない(p=0.014:統計的に有意な差があることを示す値)
結論
ピックポケット™チップを用いた0.06% CHXによるWaterpik™ウォーターフロッシングを1日2回実施することで、歯周組織の健康状態を有意に改善できることが確認されました。この方法は、従来の洗口液使用よりも効果的で、歯の着色も少ないという利点があります。
